半年間ユーザーインタビューを毎週続けてきたことで分かったのは、とてもシンプルで大切なことだった

石黒勇気
31

この記事は RECRUIT MARKETING PARTNERS Advent Calendar 2018 の投稿記事です。

こんにちは。スタディサプリENGLISHでUXデザイン・プロダクトマネジメント(PM)を担当している石黒です。

スタディサプリENGLISHでは、事業の最重要指標を『ユーザーの価値を届ける』ことにしています。そのため可能な限りユーザーと対話する機会を設けています。今回は、私が毎週ユーザーと対話していくなかで改めて感じた一次情報の大切さをお伝えします。

※ スタディサプリENGLISHは、『聞く』『話す』をドラマ仕立てなストーリーを読み進めながら学べる『日常英会話コース』と、TOEICの学習に特化した『TOEIC® L&R テスト対策コース』という2つのコースを提供しているオンライン英語学習サービスです。詳しくはこちら

誰のためのプロダクトなのか?

スタディサプリENGLISHというプロダクトは、英語を学習を通してその先にある目標の実現を目指す人のためにあります。事業全体としても『ユーザーの価値』に重点を置いています。「ユーザーがこのサービスにどんな価値を感じるのか」その捉え違いがあってはなりません。ユーザーの声を基に、私たちはどう改善できるのかを模索する必要があります。

定期的なインタビューをするために気をつけた三つのこと

毎週1〜2名のユーザーと対話を続けました。定期的にインタビューを実施するために以下の三点だけ気をつけていました。

『どういう人』と『なぜ呼ぶのか』を決める

インタビューを実施することが目的になっては意味がありません。なぜ話したいのか、仮説は何か、目的を明確にしていました。そのため目的が定まらない場合は無理して呼ばないと決めており、結果的に毎週1〜2名のユーザーの方と話すというスタイルに落ち着きました。事業の状態によって目的は変わっていきます。現在は誰でも柔軟にインタビューを実施するようにフローを型化しています。

11月、12月のインタビューカレンダーです。目的別に色分けして管理してます。

オープンな場と雰囲気を & カッチリし過ぎない

弊社の施設は、別部屋からインタビュールームを観察できる構造になっています。インタビュー開催のスケジュールは関係者全員に共有していますが、強制参加ではありません。参加してもしなくても良い自由なスタイルです。どうしても夜に実施することが多く、メンバーによっては都合を合わせるのが難しいこともあるからです。また、定期的に実施していると、参加するメンバーが固定化されてきたりします。

インタビュー中のSlackでのやりとり。
深掘りしたいことがあれば、インタビュアーがそれをキャッチアップして様子を見つつ訊いていきます。
また、カッチリし過ぎないようにも気をつけています。一から十まで何もかも決めうちにしてしまうと、事前準備だけで負担が大きくなるためです。そのため最低限の準備(必要書類、インタビューシナリオの骨子など)だけに留めています。

インタビュー本番では、冒頭5分でモチベーショングラフを書いていただいてます。次に時間軸で『感情』と『出来事』を書いていただきます。こうすることでユーザーが当時の状況を事前に思い出しやすくなり、より具体的に話していただけるようになります。

さらに「今グラフだと、どのあたりですか?」といったようにに会話時における地図としても扱えます。いま何の話をしているか迷わなくなるため、インタビューをスムーズに進行出来るのです。

実際にユーザーに書いてもらったモチベーショングラフ

『どんなことがあったのか』『改善することは何か』を関係者間で共有する

インタビューして終わりでは意味がありません。ある目的のインタビューの終了後に『結果』と『次のアクション』を関係者に必ず共有します。特に『次のアクション』が重要です。より深掘りするのか、改善策を起案するのか、施策の優先度を変えるのか。インタビューから得たリアルな『一次情報』をどう生かすかが、ユーザーに価値を届けることに繋がります

価値の乖離に素早く気付ける

「結婚して子供がいるから、家では十分に学習できない。私の学習する時間は通勤時間や昼休みだけです。隙間時間に学習できることに価値を感じています。でも、今だと満足に隙間時間に学習できないです。」

ユーザーと話しているとこんな意見が出てきました。アンケートを見ても同様の意見が目立っていました。隙間時間で学習できることは当アプリならではの価値の一つです。深掘りしていくと、二つの理由が浮かび上がりました。

  • コンテンツのダウンロード頻度が高いため、ダウンロードを待つ時間がもったいない。ダウンロードに時間がかかり過ぎる。
  • 通信量が気になるから、あまり屋外でダウンロードしたくない

近年格安SIMの利用者が増加しているという背景もあるかと思います。なかには「トイレ中の隙間時間でやりたいのにダウンロードが遅くてできない」というご意見もありました。

コンテンツを充実させた一方で、私たちが価値と思っていた『隙間時間で学習できる』ことがユーザーが感じる価値と乖離が出始めていたのです。そこで数ある施策の中から、『コンテンツを事前にダウンロードできる機能』の優先度を上げることにしました。

面白いことに、こうして一つ改善する度に今度は新しい要望や不満が見えてきます。ユーザーに向き合わないと、そもそも価値の乖離にも気づけない危険が潜んでいます

ユーザーとの対話はいいぞ

ユーザーとの対話はオススメです。理由の一つとして、自分自身(もしくは参加者)の意識が変わるというのが挙げられます。私自身これまでは『KPI達成を目指してプロダクトを良くしたい』という意識でした。それが、毎週インタビューを重ねることで『ユーザーがプロダクトを通して、英語ができるようになり、それによってその先の自己実現を叶えてほしい』と思えることができました。ユーザーがなぜプロダクトにお金を払って使ってくれているのか(何に価値を感じているのか)という『一次情報』に触れていたからだと思います。これを感じることができるようになると、普段の業務でも自然と『ユーザーにとってどうか』を考えるようになります。

ただし、目的がはっきりしないうちは無理にする必要はありません。なぜなら価値の低い『一次情報』ばかり得てしまい、そこからプロダクトをミスリードしてしまう恐れがあるからです。

ユーザーインタビューは泥臭くて地味なことが結構多いです。ですが、『一次情報』にこそ『ユーザーの価値を届けること』のヒントがあると思います。なにより、べた褒めしていただけるユーザーと対話できると単純に嬉しい気持ちになれます!プロダクトにより愛着を持てます!!

この記事がこれからユーザーインタビューしてみたいと思っている方にとって少しでも参考になれば嬉しいです。お読みいただきありがとうございました。