ファシリテーターの板書テクニック3つの基礎~参加者編~

田中拓也
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こんにちは。リクルートマーケティングパートナーズ UXデザイングループ UXチーム 拓也です。
前回は「準備編」ということで、ミーティングを行う前に何を準備し何を行うのかをお伝えしましたが、今回はミーティング時に参加者タイプによってどのような振る舞いを行い、どのように板書をするとよいのかを僕の経験からお伝えできればと思っております。

ミーティング参加者のタイプもそれぞれですよね。例えばこんな方。

  • 自分の主張が正しいと意見を無理やり通そうとする方
  • 発散だけして収束の部分には関与しない方
  • 皆の議論を傍観してディスカッションに参加しづらい方
  • すべてを決めてしまいディスカッションにならない上司やリーダー

その時ファシリテーターは参加者によってどのようにに行動すればよいのでしょうか?

「板書を制す者は、会議を制す」

議論の空中戦になっていたり、対話ではなく会話になっていないか?それをファシリテーションスキルで活発になるミーティングにしましょう!

1.議論が滞るなら「その課題を解決するにはどうすればできますか?」と深堀り、そのアイデアを板書

ファシリテーターは時としてインタビューの司会者のように『問いかけ』が重要と考えています。
会議自体が「できない、不可能」というネガティブな感情が渦巻いてしまった場合、思考も考えることをストップしてしまい、新しいアイデアが出づらくなります。
本当に不可能なことはさておき、どのように解決するかが重要になってきます。

ファシリテーターは参加者の顔色や発言からディスカッションが滞る状態を早く察知し、『問いかけ』を行います。
その方法は、「その課題を解決するにはどうすればできますか?」「ほかにはありますか?」と聞いてみます。
そこで板書の出番です。

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一つ一つの解決アイデアは本当に解決するには遠い場合がありますが、アイデアを繋げて俯瞰すると違う側面からアイデアが膨らむ場合があります。

軸としては以下の側面から考えて見ましょう。

思考を広げる軸

  • ヒトの関係
  • モノの関係
  • プロセスの関係
  • 環境の関係
  • 意味・価値の関係
  • 五感の関係

出典:アイデア・スイッチ 次々と発想を生み出す装置 石井力重氏

そこで課題解決に効率的で効果的なアイデアを優先順位をつけ実行していきます。
もちろん、論理的な方法で進めてしまうのも良い方法だとも考えています。
最初はチームのわだかまりをなくす必要があるため十分な発散と収束をお勧めしています。

2.議論で発言しない方がいる場合は「付箋」を利用し発言した状態を作る

ミーティング時には議論に参加しない、もしくは発言しない方がいると思います。
特に日本人はその傾向が高く、和を重んじるあまりにいらない空気を読んで発言しなかったり、言いたいことがあったとしてもあえて発言しないで会議終了時にこっそり言うといったことなどあります。

私が外資系企業に勤めていたときのことですが、ミーティング時発言しない方に上司が言った一言があります。

「議論に参加しないのであればミーティングに参加しなくてもいいよ。」

その真意は発言しない=存在しないことであると同義であるということということのようです。

ただし、発言しない方は思っている事や言いたい事はたくさんあるということはファシリテーターはまず考えるべきです。
なぜなら、小さなわだかまりがあるとチームとしても成長しないためです。

では発言しない方を議論に参加してもらうためには?
それは「付箋」を利用し発言を一度書いてしまい、壁に貼り付けることがよいと思います。

この効果としてよいのは、「皆の議論を傍観してディスカッションに参加しづらい方」だけではなく「自分の主張が正しいと意見を無理やり通そうとする方」にも使える手法です。

wb444やり方

  • 解決策を書く[3分]:
    課題についての解決策を1枚の付箋に1つの解決策で書いてもらう。(イラストも可)
  • 発表&張り出し[各2分]:
    順番にアイデアを張りながらひとつひとつ説明してもらう(同じものがあれば重ねる)
  • KJ法グルーピング[15分]:
    傾向をグルーピングしてタイトルをつけてもらい優先順位をつける

こうすることで影響力の強い方と発言しない方の発言を俯瞰でき可視化することで解決案を議論することができます。

3.MTG終了まとめではアクション事項を「誰が」「いつまでに」「何をする」を参加者にコミットさせ、議事録はまず板書を写真共有

ミーティング終了後、すぐに行動に移すことができるようにすることが『良いミーティング』だと思います。そうするには行うアクションを「誰が」「いつまでに」「何をする」のかをミーティングの最後にまとめて話し担当者にはコミット(強い約束)してもらいます。

その時に板書でもアクション内容を必ず書きましょう。

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アクションの書き方

[田中][9/1]〇〇を××を作りAさんに共有する
[鈴木][9/2]〇〇を××を分析する
[山田][9/2]〇〇を××を分析結果をPPTにまとめる

アクションのかきかたのコツとして「何をする」は動詞で書きどういう状態になっているというところまで書けるとよいと思います。

そうすることで参加者の頭のその時の状態イメージの曖昧な部分をできるだけなくすことで、合意を取りやすい状態にできます。

また、ミーティングが終了後は、議事録をテキストで書くのもよいと思います。
が、ミーティングの熱度は板書に現れています。あの時どういうことがかかれていたっけ?の記憶は板書のほうが経験しているということもあり鮮明です。
よって写真で即座に共有し、テキストはその後にまとめてしまうほうが作業時間の効率もよいと思います。

まとめ

UXデザイナーはファシリテーションスキルは必須だと考えています。
リサーチ時に行うカスタマーインタビュー手法もミーティングでは非常に活用できると思います。
参加者の顔や発言の内容を観察、深堀ることでポジティブに解決の糸口を見つけて議論を促していきましょう。
ミーティングもUXとして考えた場合、「どのような場の体験にしたいか?」「ゴールは何なのか?」「どのようなストーリーで参加者が満足した議論ができたか」を考えて行動してみてはいかがでしょうか?