オースティンでオバマ大統領を目撃!〜 SXSW 2016 参加レポート #3 SXSW Interactive 基調講演編

beniyama
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こんにちは、beniyama ことデータエンジニアの山邉です。

前々回の SXSWedu 基調講演編、前回の SXSWedu セッション編 に引き続き今回は SXSW Interactive についてレポートしようと思います。

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抽選で引き当てたオバマ大統領の基調講演

今回、開催直前になってオバマ大統領が初日の基調講演のスピーカーとしていらっしゃることが発表されました。SXSW の30年もの歴史の中でも大統領が登壇されるのはこれが初めてだそうです。どうせ長蛇の列になるだろうからと思い気にしてなかったのですが、Web の抽選で参加者が決まるということを教えてもらったので記念受験のつもりで締め切り間際にエントリーだけしていました。

すると基調講演前夜に当選の通知! 出来る限り私物は持ってこない、時間厳守、リュック・PC・傘は NG などの厳しい条件を熟読して会場に向かいます。

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会場は Austin Convention Center から川を超え徒歩20分程度歩いたところにある The Long Center。セキュリティの関係からかイベント中心部からやや離れた場所に機材が設営され、専用の受付が設けられていました。

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当選者だけに配布される入場チケット。"A Conversation with President Barack Obama" とある通り、対談形式の基調講演です。

SXSW ではセッションなどで部屋に入る際に必ず参加証をスキャンして参加者確認をするのですが、基調講演のチケットを受け取る際にも同じ仕組みでチケットが発行されるようになっており、抽選と同様にちゃんとシステム化されていました。

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比較的早く着いたので前の方に並んでいたのですが、大きなカメラも NG だと言われホテルまで置きに戻ることに…(禁止事項には書いていなかった)。

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カメラを置いて戻ってくるとすっかり長蛇の列になってしまっていました。

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2時間以上立って待っていたのでだいぶくたびれたのですがようやく入館。館内では空港にあるようなセキュリティゲートも設けられており厳重な警備の中を先に進みます。

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講演中の撮影は NG だったため大統領の写真はありませんが、十分な距離でその発言の一つ一つとライブ会場のような観客の興奮を肌で感じることができました。

政府と市民、問題解決のためのそれぞれの役割

講演の様子は Youtube に上がっていますが、動画をご覧いただければ会場がどれだけ盛り上がりを見せたかがわかるかと思います。対談と言っても堅苦しいものではなく、軽快で時に強烈なツッコミも交えつつユーモアとジョークに溢れたトークショーを観た気分でした。大統領がスターでありエンターティメントとしても成立していて、日本ではあまり考えられないというか小並感ですがこれがアメリカなのか、としみじみと感じました。

一番痺れたのは 48:50 のあたり、時間がきたので対談相手の Evan Smith 氏が締めに入ろうとすると 「I’m the President, so I’m gonna take one more minute.」 と遮って聴衆へのスピーチをはじめるところです。大統領にしかできない心にくいセリフだと思いますが、このパフォーマンスに会場も沸きました。

最後のメッセージの中でも語られていますが今回の対談のテーマはかなり大統領選を意識した構成になっており、市民一人一人が政治あるいは社会問題の解決に向けてもっと参加してほしいというものだったように思います。特に投票率の低さは具体的に述べられており、「世界で最も古くから民主主義制を敷いた先進国なのに投票するのがピザを買うより難しい」というような自虐発言まで飛び出しています。大統領選ですら50%程度の投票率という現状をどう再設計するのか?オースティンのあるテキサス州は特に投票率が悪いらしいですが、それは現状に満足している統治者たちが投票率を上げることに無関心だからだとまで言い放ちました。

投票をしやすくするためにオンライン投票システムだけでなくビッグデータ解析を使って候補者が一体どのような人物なのか・一体自分は誰に投票しようとしているのかをわかりやすくする仕組みが必要だと述べていましたが、それを作るのは政府ではないとも強調していました。問題を解決していくためには民間の優秀な人材の参加・協力が不可欠だとし、政府はコントロールポイントではなく優秀な人材を政府内外に流通させるパイプラインであったり、または様々な業界から人材を招聘しタスクフォースを結成するための場であるということでした。他にも政府の役割として公共サービスのデジタル化を進めたり、全米各地に散らばる技術・知見を集めて新しい問題解決の方法を探し出すということが語られています。

他には iPhone のロック解除問題についての質問に対して答えるシーンがあり、明確な物言いを避けていたもののゼロイチの話ではなく市民の生活を守るために必要最低限の干渉は行うべきだとの見方を示していました。個人的には IT 教育の話があるかなと思ったのですが、覚えている限りではあまり明確には触れられてはいませんでした。SXSW Music の初日ではファーストレディーが登壇されているので、もしかすると講演の内容も相補的なものになっているかもしれません。

いずれにせよこのオースティンの地で、ホワイトハウスを去る直前のオバマ大統領をこの目で見られたのはとても良い記念になりました。

雨雲を吹き飛ばした SXSW Interactive の熱気

基調講演の余韻が残る中 SXSW Interactive が幕を開けると、オースティンの雰囲気はガラリと変わり街中がお祭り騒ぎになります。曇りや雷雨で終始どんよりしていた天気も次第にこれがテキサスだと言わんばかりの青空に変わり、自分でもおのずとテンションが上がっていくのがわかります。

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SXSWedu の規模でも Austin Convention Center と周囲三つのホテルを歩き回ってセッションに参加していましたが、SXSW Interactive は更に規模を広げての開催になるためバスやタクシー、また人力車を駆使しての移動になります。

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次回はそんな SXSW Interactive で気になったセッションや Trade Show などの様子をご紹介できればと思います。